瞬きもせずに空を見上げる。
学校帰りの信号待ちの交差点、時計は9時を指していた。
月がボヤボヤと雲に見え隠れ。星は一つも見えなかった。
ギランカ ★01
一週間前から切れている自転車のライト。友達と別れてからは無灯で道路を走る。
そして家に近づくにつれて無くなっていく街灯。街灯が無いわけじゃなくて、これも電球が切れているだけだけれど。
人通りが悪い道じゃないのに、夜になるとめっきり車も人も通らない。
恐くない……って言ったら嘘になるけどもう3年目になる夜の一人走り。
今まで何にも起こったことは無かったから、きっと今日も大丈夫。
大丈夫大丈夫。自分に自分で暗示をかけて自転車をさっきよりも少し急いでこいだ。
家に帰ったら攻略途中のゲームをやろう。そう思ってまた気持ち早めにこぐ。
今日の私の記憶は此処で終わり。
★
気が付けば私は海の中にいた。
上を見れば水面。下を見れば岩。
目の前には髪も瞳も綺麗な青色の男の人。
ああ……これはもしかして……。と、記憶を探ると思い当たる点一つ。
いや……そんなはずは……。と、現実逃避してみたりする。
まず此処が夢なのか、現実なのかも分からないのに現実逃避って言葉は当てはまらないかもしれないけど。
「君は………?」
リアルに耳に声が響いた。
夢なのかも、なんて考えられなくなるような聴覚を支配する海の音。
それがやけに心地よくて思わず目を閉じてしまった。
10数秒後目を開けて掌を見れば、輝く小さな星が一つ。
「これは、この“印”は貴方がくれたものですか?」
「いや……それは初めから君のものだよ。君の事をここまで、この世界まで導いてくれた印」
「じゃあ私はこの印で私の世界に帰れますか?」
「いつかは帰れるかもね………。でも今は無理みたい」
どうして?……と紡ごうと開いた口は、相手によって無意味にされた。
「君がこの世界で君にしか出来ない事をやれたら、君を帰してあげる」
「私にしか出来ない…こと」
「うん。だからそれが出来たらまたここに来ることができるように、君に印をあげるよ」
握られた右手はその中心が熱い。
重なっている手の隙間から光が溢れる。その光は周りに反射してキラキラしていた。
それと同時に瞼が重くなってゆく。意識が遠のいてゆく。
「目覚めた時、君はこの世界を見て何を思うのかな………?」
途切れていく意識の中で、男の人の声が深く深く頭に響いた。
to be continued later...
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信じられなくても、心の奥では少しの希望。
retouch :06/08/01