水の中に 砂糖を 一つまみ入れたら
あなたは なついてくれますか?
満ちる海と月と
(第二話)
(ああ もう どうしよう)
袋から出てきた可愛い少年は見るもの全てが珍しいようで(何にもない山奥から都会にやって来たと勝手に予測)、 あちらこちらに触っては落とし、触っては壊しをしてくれちゃってます。
これ以上部屋を荒らされては危険だと思った私は 少年を捕まえるために、後ろからガバっと腕を少年の体に巻きつけました。(うわ、めちゃ細いぜコノヤロウ)
そしてそのまま抱えてベッドの上に座り、いつの間にか脱いでいた毛布をベッドに戻す。(そういえば、何だか変な服着てるや)
視線を少年に戻すと、ぷくぅっと頬を膨らまして怒っている御様子。
「離せ」
「駄目デース。離したら君部屋荒らすもん」
「……荒らしてねぇ。ここに危険な物がないか確認してただけだ」
「それを荒らしてるって言うんだよ。物騒な物は何にも無いから安心して?」
ね?っと優しく言うと、少年は納得のいかない様でますます膨れてしまう。(やん 可愛い!)
そういえば私、この子の名前知らなかったな。名前以外のこともサッパリだけど。
「ねえ?あなたの名前は何ですか?」
「……………」
「教えてよ〜」
「……………」
完全無視されてます。
相当ご立腹のらしい。
「教えてくれたら、ホットケーキ作ってあげるよ?」
小さい子には甘いもの! そう考えた私は、餌で釣ってみることにした。
この容姿で甘いもの好きだったら、もうッ……、もうッ………!(鼻血)
妄想が頭の中をぐるぐる回り、よからぬ事を考えて一人でニヤニヤする。
包装されてたって事は私へのプレゼントだよね? リボンまで付いてたしねぇ?(ニヤニヤ)
もんもんと何かを考えている少年を見ながら、私の妄想は膨らむばかり。
「俺、物食べなくても平気だから」
でもその一言で、ガラガラと砕ける私の夢。(否、妄想ですが)
だってだって、ホットケーキを「あーん」ってしようと思ってたんだもん!
ってか人間が物を食べなくて生きていけるはずがないじゃん。
水だけ飲んでても死んでしまうのに。
(ハッ!)もしかしてその実験中?
この子は実はすっごい科学者かなんかで、“人は何日物を食べずに生きていけるか”を自分の身を持って試しているんじゃ………!?
だから荷物になって運ばれたり、自分が傀儡なんて言い出したりしたんじゃ。
「だめだよ! そんなことしちゃ! 人はね、物を食べる事によって欲を満たしたり体の中からは作れないものを摂取したりしてるんだから!!」
「だから 俺は人じゃねぇって言ってンだろ」
「どっからどー見ても人間にしか見えません!!」
「俺の体をそのまま傀儡にしたんだから、人間に見えるに決まってンだろーが!」
「だったら傀儡だっていう証拠を見せてよ!」
「ああ! 見せてやろーじゃねぇかッ!」
そう言って、黒地に雲の模様のコート(?)を脱ぎ始めた。(何で服を脱ぐわけ!?)
もぞもぞと腕の中で動く。それがなんだか変な気分だった。
ようやく服を脱ぎ終えた少年は「離せ」ともう一度言う。
今度はあっさり腕を離すと、上半身裸の体を見せ付けてきた。
え? 何で? どうして??
程よく引き締まった身体。それに加えて肌の色が異様に白い。
キメ細かそうな肌にとっても触りたい衝動に駆られる。
「どーだ!!」
「どーだ、と言われましても……」
「俺が傀儡だって事が分かっただろ?」
「分かんない」
「どーしてだよ!」
「どこがどう人間と違う作りなのかが、私の頭ではさっぱり理解できません」
「見たまんまじゃねぇーか!!」
「うん?」
「俺の!」
「うん」
「心臓の所に!」
「うん」
「“蠍”って書かれた核があるだろ!」
「それが俺が傀儡だっていう証拠だ」と少年は言うけれど
「ないよ」
「……ハ?」
「そんなのどもにもないもん。普通の人間の体だよ」
「あるだろーが!ここ……………ねぇ!」
だからそう言ったじゃん。心の中でそう呟やいた。
本気で自分が傀儡だと思ってたのかな?
それだったら可哀想な事をしちゃったかも。
こんな可愛い嘘、騙されてあげればよかった。(ちょっと後悔)
しゅーんとしているこの子を、もう一度抱きしめて頭を撫でてあげた。
「別に嘘でも怒ってないよ」
「………」
「ん?」
「俺は幾つくらいに見えるか?」
「10〜12歳くらい?」
これから私は、とっても衝撃的な事を聞く事になる。
非・現実的なそう、例えて言うなら本当に宇宙人が地球に来てしまったくらいの。
「俺はどうやら異世界に来てしまったらしい」
今までの流れから、何でこの考えにたどり着いたのだろう。
それでも真剣に言うものだから、嘘だとは思えなかった。
空気が緊張しているのを体で感じながら、彼がそれよりも緊張してるのが分かった。
色とりどりの あまーい愛を いっぱい 入れてあげるね
to be continued later...
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サソリさんは若返って、性格も可愛くなりました。主人公は高校生です。
retouch :06/11/05