自分は自分の事が嫌いでも、きっと自分が大事だと思う。
だって傷つきたくない。
だって誰かに嫌われたくない。
そのためにはきっと……なんでもするよ。
un(able even to feign interest in) 01
自分より他人が幸せだと許せない。
自分より他人が勝っていると許せない。
誰でも考えること。
誰でも思っていること。
ドロドロしてて汚くて醜い部分が絶対どんな人にもあるんだよ。
だって人間だもん。感情を持っているんだもん。
綺麗な人なんていない。
だから…私は友達に好きな人が出来たのが許せなかった。
★
朝早く学校に行って美術室に向かう。
朝練なんて大げさなものじゃなくて、ただ友達と二人で絵を描いているだけ。
HRが始まるまでのほんの少しの時間だけど、私はこの時間が大好き。
二人で一枚の白い大きな紙に思い思いに描いていく。
動物に人によく分からない生物に、嫌いな先生の似顔絵とか。
二人でふざけて、笑いあえるこの時間が好きだった。
「ねえー」
「んー?」
「って好きな人いないの?」
グリグリと鉛筆を紙に押し付けながら私の一番の友達の美咲が聞いてきた。
それに私は笑って答える。
「いないよー。だって今は勉強に部活に忙しいもん。気になる人もいないしね」
「嘘!だってうちの学校ってカッコイイ人沢山いるよ。も『かっこいいなー』って言ってたじゃん」
「だってそれは自分で勝手にイメージ作ってるからだもん。実際に付き合ったりとかは考えられない」
「あー理想高いもんねー…」
「いいでしょ別に!というか、美咲がこんな話するなんて珍しいね」
「あー…うん…」
「どうした〜?もしかして好きな人出来ちゃった?」
何でこんな事を聞いたんだろう。
後悔したときにはもう遅い。
大きな考査の時もそう、後で絶対もっと勉強しておけば良かったって思うんだ。
こういうのは大抵勉強関係でするものだと勝手に決め付けていた。
うん、そう。
だからこの時の事を思い出したのもずっと後。
取り返しのつかない事になってから気が付くなんて
私はきっと馬鹿。
「…うん。私火原先輩が好き!」
この言葉から狂いだした。
この言葉を聞いたらいけなかったんだ。
「火原先輩って陸上部の?」
「うん!走ってる姿に一目惚れ」
「へー今度は三日で飽きないでよ?」
「もう!じゃないんだからそんな事しません。私は一途ですよ〜だ」
「む。御免なさいね飽きっぽくて」
「「あははははは!」」
顔を見合わせて二人で笑う。
この時は本当に楽しかった。
このままずっと笑っていたかった。
でも狂っちゃったんだ。
「ねえ…。応援してくれる?」
「もちろん!当たり前でしょ友達だもん」
当たり前。
何が当たり前?
「ありがとう」
「いえいえ」
「好きになっちゃ駄目だよ…火原先輩の事」
「ならないよ!頑張ってね美咲」
「うん!」
後片付けをして、二人で手を繋いで教室まで戻った。
繋いだ手から伝わるのはお互いの体温。
流れていかないのは、自分の本当の気持ち。
ぎゅっと繋いだ手をさらに強く握って私は廊下を歩いて行く。
何気ない顔で美咲の話を聞きながら。
これは
寒い冬の風が吹く、1月のある日の出来事のことだった―――。
to be continued later...
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シリアス連載開始です!友達の名前は固定にします。
retouch :05/09/04
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