「火原和樹です!よろしくねちゃん」



向けられた笑顔。
隣で彼の腕に自分の腕を絡ませながらにこにこしている美咲。
私は呆然と二人を見ていた。






un(acceptable) 03






どうやら私は美咲の報告メールの返信で、『今度先輩紹介してね』らしき文を送ったらしい。
それで美咲は次の次の日、そう今日。昼の放課に先輩を連れてきた。



「初めまして先輩。美咲の友人のです」



軽く自己紹介をした後、三人で話した。
話したと言っても私は相槌を打つ程度で、ほとんど火原先輩と美咲が話している。
しばらくそうしていたら火原先輩が苦笑しながら話しかけてきた。


「えっとあのちゃん……そんなに見られてたら恐いよ」
「うわっ!その目ヤバイって」
「すみません。…美咲も失礼ですよー」
「だって本当の事だもん」
「なにーー」
「二人って本当に仲が良いんだね!噂通りだなー」
「えっ私達噂になってるんですか!?」
「うん♪有名だよ“美術部の凸凹コンビ”って」
「じゃ、私が凹だね」
「美咲小さいもんね」
「五月蝿いよ!」
「美咲ちゃんってちっちゃくて可愛いよね」
「和樹先輩も大きくてカッコイイですよ!」



二人で褒めあって、二人で照れてる。
真っ赤になって林檎みたいに。

見てられないと顔を反らして3月の初めの方にある大きな行事を思い出す。


“卒業式”


先輩は3年生だから卒業だ。
卒練がある度に美咲が悲しそうな顔をする。
送る歌を必死に堪えて歌っている。
でもそれは先輩を好きになった美咲が悪い。
だって哀しくなるのは分かっていた事
離れてしまっても何か繋がりを残していたかったから告白したんでしょう?
だったらやっぱり苦しむのは仕方が無い事だよ。
如何する事も出来ないよ。

こんな事いったら、貴方は私を冷たいと言うのかな?
きっと言うね。
だけど私は私の気持ちを言うつもりは無いからずっとこのまま。
哀しいといったら励まして。
泣き出したらな慰めて。
きっとこのまま。このままなんだ。

変わるのはここまででいい。
ここまでだったら自分で制御できる。
先輩が卒業して、私たちも卒業してきっと離れ離れ。
そしたら少しはこの気持ちも薄れるから。



「和樹先輩は星奏学院に行くんですか?」
「うん!星奏の音楽科♪家族の皆には反対されたけど俺、トランペット吹きたいんだ」
「私も星奏の音楽科に行きたいな〜って思ってたんですよ」



嘘ばっかり。
そんな話聞いた事も無い。地元の公立に行くって言ってたくせに。



「ねっ!」
「え?ちゃんも星奏希望?」



この展開は何?
私も星奏に行く事になった?もしかして…。
美咲の言った事は嘘だと言ってしまおうか。
でもそんな事をしてしまったら、私の残りの1年間が崩れてしまう。

自分が大事。自分が大切。
だってほら、美咲の不安そうな顔。
本当の事を言われないかドキドキしてる。
やっぱり人は自分勝手。



「違うでしょ美咲」
「違うの?」
「っ!」



一瞬顔が曇った。
でも直ぐに直す。そして懇願の目で私を見る。



「私は普通科希望で、音楽科希望なのは美咲だけじゃん」
「え…。そ、そうだったねーてっきり一緒だと思ってたよ」
「そうなんだっ。二人共頑張ってね!」
「まず頑張るのは火原先輩ですよ」
「そうですよ!来月の今頃じゃないですか?先輩ファイト!」



こっそり美咲が、「ありがとう」って言った。
私も、「いいよ」って返す。
へらっと二人で笑うと、先輩が『?』な顔で、「何々?俺も混ぜてよー」って言った。



「駄目です!だって凸凹コンビですもん」
「だね!内緒です和樹先輩」
「んー…。あっ!じゃあさじゃあさ!“凸凹トリオ”にしない?それだったら俺も仲間になれるしさ」
「火原先輩…それじゃ“だんご3兄弟”みたいです…」
「えっじゃあ私3男?」
「俺団子好きだからいいんじゃない?みたらし団子好きだよ!」



真顔で火原先輩が言うもんだから、また笑ってしまった。


自分の進路を決めるのはまだ先。
だからまだこの関係でいられるよね?
貴方がまだ止まっていてくれるなら、私も止まっていられるよ。



叶うなら、このままの状態で―――










to be continued later...

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キャラ登場です。次ぐらいで中学の話終了します。
呼び方は「火原先輩」が主人公で、「和樹先輩」が美咲です。
retouch :05/09/19
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